大判例

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東京地方裁判所 昭和39年(ワ)2222号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕右各鑑定資料によれば、地代の算定に当つて地価の昇騰を主として考え、本件土地賃借の際における特約による敷地利用方法は、右各資料ともこれを顧慮したものでないことが明らかであるところ、本件土地賃貸借においては、前示のとおり本件土地を公衆浴場用普通建物の使用の目的で賃貸することが明らかに合意されており、被告においても公衆浴場敷地として利用し、現に浴場が建設されて営業中であることは、原告の争わざるところであり、前出証拠資料によつても明らかであつて、被告は本件土地を浴場敷地として利用することにより収益を得て、これが対価を原告に支払うものであるところ、その収益源たる公衆浴場の入浴料金は、物価統制令第四条および物価統制令施行令第一一条の規定により統制額が指定されていて、このことは原被告間に本件土地賃貸借契約が成立したときも、現在も同様であり、その統制額は、物価上昇に伴い改訂されてはいるが、……により認められるように、公共料金なるが故に低額に抑制されているのであつて、賃借人において自由に賃借地を利用し必要なる収益を挙げうる他の場合と著しく相違し、本件土地利用による収益は厳格なる統制下にあり、被告において充分の満足をうけ得られない状態であるのである。このことは、賃貸人たる原告も了知しているものであり、本件土地を公衆浴場敷地として賃貸した以上、これによつて受ける不利益を、独り賃借人たる被告のみならず、原告もまた忍従しなければならないものというべく、この考え方に従い、前示各鑑定の結果および甲第五号証により算出された賃料についての前記判断、および前出乙第三号証の一ないし三並びに本件土地賃料が昭和三一年八月以降値上されなかつたこと(このことは被告の明らかに争わないところである)などを綜合して判断すれば、底地価格を金三三、七五〇円とし、利廻りすなわち投資期待利益は一分五厘程度に止めるのが相当と考えられ、これによると、本件土地の投資期待利益年金五〇六円で、これに右鑑定資料中松尾による公課金一〇二円、管理費金六〇円(右を合算すれば三鑑定資料のうちの最高額である)を加算しても、一カ年の賃料額は金六六八円となり一カ月賃料金五六円である。しかして、本件土地は二三二、五坪であるから、右に対する一カ月の賃料は金一三、〇一〇円であり、従前の約定賃料の倍額に近いものとなるのであつて、本件土地の別紙記載賃貸借契約における昭和三八年一一月一日における一カ月の賃料債権は右金一三、〇一〇円を以て相当額というべきである。(荒木大任)

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